海外駐在員の提供価値

2021-03-02
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2021-03-02 Global Consult Group

海外駐在員の提供価値

2018年ある海外ビジネス研究会で発表した際のメモが出てきた。読み返してみると中々良いことを書いてあると自画自賛した。主な内容は;

  • 海外業務のフロー(モノ、カネ、リスク及び契約履行範囲のデマケ−ション)
  • 海外取引の三原則(文書主義、現場主義、相談相手)
  • 現地人材の育成(宗教・民族、明確なJob Description)
  • 海外駐在員の提供価値

自らの経験で学んだことを何気なく箇条書きでメモったもので、ブログのテーマを考えるヒントになりそうだと感じた。その中で今回は④項の海外駐在員の提供価値は何かを考えて見たい。

海外駐在された方はどなたでも感じられると思うが、日本ほど海外で起きた事件や事故の反響(所謂マンホール効果)が大きい国はあまりない。「大丈夫か?無事か?」というメール(ではなく、当時はファックスかテレックス)や電話を良く日本の本社や親戚から受けたことがあり、初めてそんな事件が起きたのだと知ることもあった。

こういったある意味のんびりしている駐在国の空気感や、逆に身近でテロや爆破事件が起きた際の危機感を如何に日本側に伝えるかが駐在員の重要な仕事である。今はインターネットで即座に情報を得ることが出来るが、何故そうなったのかという現場の空気感・背景までは伝わらない。

歴史、風土、習慣などの駐在国の空気感、仕事で関係する人々の人となり、これらを感じ取り相手が何を考え、次に何が起こりそうかを感じ取る職人技のような判断力を鍛えることが重要である。実はこの「相手が何を考え、次に何が起こりそうか」を探る暗黙知が海外駐在員の一番重要な提供価値であり機能なのである。これは日本の本社では出来ない仕事である。

大手企業では地域統括役員が各駐在員の意見を聞いて「相手が何を考え、次に何が起こりそうか」を判断し統括地域の事業方針を考えていく。海外への進出を考えておられる中小企業では最初は単身で海外駐在されるケースが多く、派遣された人はそういった暗黙知を磨き上げ社長に報告する必要がある。精神的にも肉体的にも大変な仕事になる。海外ビジネスの拡大はやはり人材の育成が最重要である。

この暗黙知には標準化が効かないし、教科書的なマニュアル化も難しい。人それぞれの「やり方」「集め方」「分析方法」「考え方」「情報ネットワーク」があり、これが正解だというものはない。まずは先輩や上司の助言を聞き、自分なりに理解し実践して、その経験から次なる仮説を立てて検証していく。PDCAサイクルで「相手が何を考え、次に何が起こりそうか」を判断するノウハウを鍛えていく。急がば廻れで、仮説−検証のサイクルを積み上げて行くしかない。

私の経験から考え、この暗黙知を鍛えるのに一番効果があるのは「失敗例」を共有することである。成功例は楽しい思い出になりがちだが、失敗は絶対に忘れないし何故そうなったのか徹底分析するのが一般的である。恥ずかしいし、悔しいので無意識の内にあらゆる角度から深い分析を行っている。失敗例は人材を育成するノウハウが詰まった「宝の箱」である。

この「宝の箱」をどのようにして従業員に開けてもらうか、言い換えれば、胸を張って(?)自分の失敗を社内で共有する(できる)評価制度、社内環境作りが中小企業の社長が行うべき重要な仕事の一つになる。

武藤

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