訪日外国人観光客を呼び込め~飲食店のインバウンドビジネス対応①ハラール~

2018-09-30
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2018-09-30 Global Consult Group

訪日外国人観光客を呼び込め~飲食店のインバウンドビジネス対応①ハラール~

皆様ご存知の通り近年とみに訪日外国人数が急増しています。政府も東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の目標数を4,000万人に設定しており、今後も多種多様な外国人の訪日が見込まれます。 このような状況下、訪日外国人対応は飲食、宿泊、サービス業において喫緊の課題であり、また大きなチャンスとも言えます。特に飲食業においては、宗教上あるいは慣習や個人の主義・思想による特殊な食事を望む外国人の訪日も考えられます。例えばイスラム教徒の方々です。今回はインバウンド需要の取り込みのうち、イスラム教徒の方々への対応、いわゆる「ハラール対応」に焦点を絞って書き綴ってみます。

(1):ハラールについて

まずは「ハラール」という言葉ですが、そもそも「ハラール」って何?という方もおられると思います。「ハラール」とは、イスラム教徒に対し宗教的な安全性を保証するという概念です。

アラビア語で「許されたもの」、「イスラム法で合法なもの」を指します。

イスラム教徒は豚を食べてはいけない、アルコールを飲むことは禁じられているとよく言われます。実は、食物や飲料で禁じられているものは、他にもたくさんあります。ハラールと反対の概念を「ハラーム」(禁忌)と言います。食物では、豚以外にも獲物を捕らえるための爪や牙がある犬や虎もハラームです。又、ワニやカエルなど水陸両方で生きられる生物もハラームです。野菜は本来ならばハラールですが、もし肥料に豚の糞が含まれているとハラームとなります。アルコールについてはいわゆる酒以外にも一般的な日本製の「醤油」や「みりん」はハラームです。なぜならばアルコールを含有しているからです。

このようにイスラム教徒は生活において種々制限を受けています。その際に安全性を保証するものとして「ハラール認証」というものがあります。この認証を受けたものはイスラム教徒にとって安心して食べる、飲む、使用することができるわけです。ハラール産業は飲食業も含まれます。飲食業におけるハラール認証は、ハラール認証を受けた食べ物を提供するだけではなく、厨房や食器なども含め店全体としてのハラール認証を受ける必要があります。

(2):訪日イスラム教徒とハラール対応

ところでイスラム教徒の人口は全世界で約16億、あるいはひょっとすると20億人を超えているかも知れないと言われています。国別の人口分布は次のようになっています。

インドネシア:209百万人

インド:176百万人

パキスタン:167百万人

上位3か国はいずれもアジアです。また、訪日人口が急激に増えているマレーシアは10位で1,658万人、意外なところとして中国は9位で2,167万人です。これらの国の中でも中間所得層が急激に伸びており、そして来日観光者数が急増しているインドネシア及びマレーシアのイスラム教徒の観光客の来店を促すことは、飲食店として非常に重要となってきます。

これらイスラム教徒の観光客が来日した際、何を食べたいと思うでしょうか。ご自身が海外旅行をした時を思い出してみてください。例えば、イタリアに行った時には本場のイタリア料理を食べたいと思われたのではないでしょうか。タイに旅行した時は本物のタイ料理はどんなものかトライしてみようという気持ちになられたのではないでしょうか。そうです、旅行先の本場ものを食べたいというのが、旅行者の気持ちなのです。来日するイスラム教徒も同様でしょう。しかしながら、ここでイスラム教徒にとっては高いハードルがあります。彼らはハラール食材しか食してはいけないのです。しかもその店自体がハラールでなければいけないのです。つまり、ハラール食材をのせる皿が過去に豚肉などをのせていた場合、イスラム教徒にとってはハラームとなってしまいます。まな板や包丁などについても同様です。厳しいですね。・・・と言ってあきらめてはイスラム教徒の来店を促す大いなるチャンスを逃してしまいます。

そこでハラール対応について述べます。まずベストなのは「ハラール認証」を取得することです。ハラール認証を取得するためには認証機関が発行しているハラール証明書を取得することが必要です。信頼性のある認証を取得するには、店内全てにおいてアルコールがないこと、食材のみならず調理器具・食器・調理法についてもハラール対応のものを使用すること、ムスリムの従業員を雇用すること等、非常にハードルが高く、またお金もかかります。

まとめ:

このような観点からすると正式なハラール認証そのものを取得するのではなく、食材、調理器具、食器、調理法などについて基準を満たすイスラムフレンドリーな対応を目指すのが現実的かも知れません。例えば店内のある一角をパーティションで仕切りアルコール(酒類)禁止の席を設置するとか、食材はハラール認証のあるものを使用し、調理器具・食器も使い分ける等が考えられます。ご参考までに日本で入手できるハラール食材を下記いたします。

  • ゼンカイミート(熊本):ハーブ牛肉
  • グローバルフィールド(青森):鶏肉
  • ひかり味噌(長野):味噌
  • 原田醤油店(佐賀):醤油
  • 渡辺スパイス工業(埼玉):カレー粉等

また、日本アセラル商事が日本初のNPNA(ノンポーク・ノンアルコール)専門サイト・ハラルストアを開設しています。

これらの食材の使用を工夫して、「イスラムフレンドリー御膳」などを提供するのも一つの手ではないでしょうか。

執筆者

山本 倫寛

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